
人生100年時代といわれるようになり、将来的に年金の破綻が懸念されるなか、年金だけで私たちの老後の生活が成り立つか不安に思っている人は多いのではないでしょうか。老後どのような生活を送りたいかによっても必要額は異なります。ここでは老後に必要な生活費や公的年金について、生活費と貯金を準備する方法についてご紹介します。
老後にお金はいくら必要なのか
日本の長寿化に伴い、定年後またはリタイア後の人生が延びることで老後の資金が足りなくなるという不安を抱えている人が増えています。
一般的な定年である60歳を収入がなくなるタイミングをした場合に、老後にあたる期間は男性も女性も20年以上、女性に関しては約30年あります。老後を20年間と定義した場合にいくら必要なのか見ていきましょう。
単身世帯
総務省の家計調査によると単身世帯の1か月あたりの平均支出は約15万円です。15万円×12か月×20年では3,600万円必要です。一方で、毎月の収入は平均約11万円程度です。生活費以外にも家の維持費や自動車購入費用、医療費、葬儀費などがかかることが想定されます。
夫婦二人
同調査による夫婦二人世帯の1か月あたりの平均支出は約26万円です。26万円×12か月×20年では6,240万円の資金が必要です。一方で、毎月の収入は平均約19万円程度です。生活費以外にも家の維持費や2人分の医療費、葬儀費などがかかることが想定されます。
定年後の公的年金だけでは不安
65歳からは公的年金の受取が始めるため、定年やリタイア後すぐに収入がなくなるということはありません。しかし、老後にいくら必要なのかを考えた場合、公的年金だけで賄うのは難しい場合が多いです。
公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があり、国民年金は20~60歳の国民全員が加入する制度で、厚生年金は公務員や企業の会社員などが加入しているものです。厚生年金は国民年金に上乗せされます。
それぞれの平均受給額は大きく異なり、国民年金の平均月額は5万円台とかなり少ないです。老後に備えておかなければいけないお金は公的年金だけでは不安といえます。
単身世帯
単身会社員で男性の場合、平均年金受給額は支出額を上回ることが多く黒字になりますが、女性の場合数万円下回ることが多いため、貯蓄が必要になる可能性が高いです。
夫婦二人
夫婦共働き世帯の場合、平均支出額より平均年金受給額が上回るため、黒字になることが多いです。どちらかが会社員でない場合には平均受給額が下回ることが多いため、貯蓄が必要になる可能性が高いです。
老後2,000万円問題
以前注目を集めたワードである老後2,000万年問題についてご存知でしょうか?
金融庁が組織する審議会が取りまとめた報告書の中で、年金収入に頼る生活を送る世帯では、毎月約5万円の赤字が出るとし、この先30年生きると約2,000万円が不足するという試算が示されました。
公的年金だけでは老後破産に陥る可能性があるということを示唆したため、老後資金への不安が高まりました。
年代別平均貯蓄額
実際にどのくらいの人がどのくらい貯蓄をしているのでしょうか。40歳未満の2人以上の世帯では708万円、40歳~49歳で1,081万円、50~59歳で1,703万円、60~69歳で2,384万円、70歳以上で2,259万円という調査報告があります。
老後2,000万円問題にあげられる貯金額2,000万円を60歳以上ではクリアしていることがわかりますが、全体の4割が住宅や土地のために負債を保有している世帯です。負債保有世帯では、貯蓄額をクリアしていても実態は異なる状況にあるといえます。
老後の生活費と貯金を準備する方法
現在の年金制度が今後破綻する可能性は低いですが、少子高齢化が続く以上、支給額が減ったり、支給対象の年齢が変わったりする可能性はあります。
老後の生活費と貯金を準備するためには、まず資金計画を立てて毎月どれくらい貯金する必要があるかを洗い出すことをおすすめします。最終的にどれくらい貯蓄しなければいけないかという目標を決めておかないと毎月の貯金額がバラバラになってしまうかもしれません。
また、支出をできるだけ抑えるために外食や大きな買い物など予定外の支出に関してはルールを決めておくことが大切です。ご褒美はボーナスが入った月だけ、外食は月に何回などです。お金を銀行預金や保険、たんす貯金などで貯蓄している場合には方法についても見直す必要があります。次のような制度も利用できます。
iDeCo
個人型確定拠出年金という私的年金制度です。加入は任意で、毎月掛け金を拠出して運用商品を選び、原則60歳を過ぎたら受け取れる制度です。掛け金は毎月5,000円以上です。掛け金と運用益、受取金に対して税制上の優遇措置があるのでおすすめです。
NISA
非課税口座内で購入した投資信託や上場株式などの売買・運用益が非課税になる制度です。税金がかからずに利益を全額受け取れるのがメリットです。
まとめ
老後に必要な資金は単身世帯で3,000万円以上、夫婦二人世帯で6,000万円必要といわれていますが、それらを公的年金だけで賄うことは難しいです。資金の不安を抱えずに老後を豊かなものにするためには、しっかりとした資金計画を立て、実行することが重要です。将来に備えて、今日から家計を見直して、取り組める資産運用などを始めてみてはいかがでしょうか。